スタート直後に指定席を奪い返してチャドウィック🇬🇧がWシリーズ7連勝を達成 2022シーズン第5戦フランスラウンド決勝

Wシリーズ

ダブルチャンピオンのジェイミー・チャドウィック🇬🇧は、ポールリカールサーキットで開催されたWシリーズ第5戦フランスラウンドの決勝で2度のオーバーテイクを成功させ、Wシリーズの連勝を7に伸ばし、今シーズンのランキング首位を確固たるものにした。

金曜の予選で最速タイムを叩き出しながらもピットロード出口の白線を跨いでしまったことで2グリッド降格ペナルティの3番グリッドからスタートしたチャドウィック🇬🇧。スタート直後からの2度のセーフティカー導入やホイール・トゥ・ホイールのバトルが展開された南東フランスの地で、ポールシッターのベイツケ・バッサー🇳🇱を2度パスすることに成功し見事優勝。劇的なレースを展開した。

チャドウィック🇬🇧は今季5戦全勝、Wシリーズではトータル11勝目を挙げた。次週開催されるハンガリーからのWシリーズ後半戦に向けて、直近の挑戦者であるランキング2位のアビ・プリング🇬🇧に70ポイントものリードを築いた。

チャドウィック🇬🇧はF1フランスGPのサポートレースで、スペイン人同士でチームメイトのベレン・ガルシア🇪🇸とネレア・マルティ🇪🇸を抑えてフィニッシュ。ベレン・ガルシアはWシリーズにおける最高成績と初の表彰台を獲得し、ランキング4位に浮上した。マルティもWシリーズ自己最高位の3位表彰台を獲得。ポールからスタートしたバッサー🇳🇱は残念ながら4位でのゴールとなったが、ランキング2位のプリング🇬🇧に肉薄の2ポイント差。

アリス・パウエル🇬🇧は11番手スタートから5位へとポジションアップを果たし、このレースで他の誰よりもポジションを上げたドライバーとなった。コートダオのチームメイトであるマルタ・ガルシア🇪🇸とファビアン・ヴォールヴェンド🇱🇮は、それぞれ6位入賞と7位入賞という素晴らしいレースを展開した。サラ・ムーア🇬🇧、プリング🇬🇧、ジェシカ・ホーキンス🇬🇧の3人がトップ10に名を連ねた。

決勝の展開 数珠繋ぎのテール・トゥ・ノーズの争い

路面温度は54℃と、金曜の予選時より10度も高い状況でドライバーたちはスタートラインに並んだ。注目のスタートでは2番グリッドのマルティ🇪🇸が大きく出遅れたためチャドウィック🇬🇧は、Wシリーズ初のポールポジションのバッサー🇳🇱とレース開始直後からテール・トゥ・ノーズの争いとなった。

2019年シーズンランキング2位のバッサー🇳🇱はスタートから後続を引き離していくだけのスピードが感じられない。一方ですぐ後ろのチャドウィック🇬🇧は前のクルマを跳ね飛ばしてしまうのではないかと思う程の力強い走り。バッサーは最初の3コーナー手前までは何とかチャドウィック🇬🇧に対してリードを保っていたが、チャドウィックはブレーキを遅らせながら3コーナーへ進入、インをとるバッサーに対してアウト側に回り込みながらもしっかりとグリップさせながらあっさりとオーバーテイク。

ミストラルストレートに入ってもバッサー🇳🇱のスピードが上がらない。今度はスタートでチームメイトのマルティ🇪🇸をかわして3位に躍り出たベレン・ガルシア🇪🇸の猛追を受ける。スピードで敵わないと悟ったバッサーはシケイン手前でイン側のラインをとりオーバーテイクに備える。その甲斐あってかシケイン後のミストラルストレート後半に入るまで2位をキープ。そこでセーフティーカーが導入される。

セーフティーカーが導入されたのは、スタートでベレン・ガルシア🇪🇸とマルタ・ガルシア🇪🇸に挟まれ、接触したアビー・イートン🇬🇧のマシンが一瞬宙を舞い、着地してサスペンションを壊してしまい、メインストレートの脇でマシンが止まってしまったためだった。この件はレーススチュワードはこれ以上の調査は不要と判断したためレーシングアクシデントとして処理された。

アビーのマシンが撤去される間、その他の各マシンは2度に渡ってセーフティカー先導のままピットレーンを通過。レースはセーフティーカー導入から6分後に再開となった。

リスタート時にはジェイミー🇬🇧が後続を引き離すために猛烈にスピードアップ。それに置いていかれないよう後続のドライバーたちもフルスロットルで追いかける。レース再開。ミストラルストレート途中のシケインでマルタ・ガルシア🇪🇸とアビ・プリング🇬🇧のせめぎ合い。マルタ・ガルシアはラインを外しながらも何とかプリングを後ろに従えたまま2つ目のミストラルへ入ったところで再びセーフティカーの導入。

レース再開後のターン3でクロエ・チェンバース🇺🇸とエメリー・デ・ホイス🇳🇱が絡んでコースアウト。テレザ・バビコワ🇨🇿、ビアンカ・ブスタマンテ🇵🇭、そしてスタートのアクシデントに巻き込まれる形で最後尾に落ちていたエマ・キミライネン🇫🇮は絡んだ2台をうまくかわしていった。チェンバースはリタイア。デ・ホイスのホイスのインを突いた走りは少々遠かったか。接触の原因を作ったとジャッジされ10秒のストップ&ゴー・ペナルティを課されることとなった。

2度目のセーフティーカーが明けた時、30分+1周のレースは残り僅か13分となっていた。早めにしかけたいバッサー🇳🇱はチャドウィック🇬🇧の後方をキープしながら1コーナーでインを突いてトップに返り咲いた。しかしチャドウィックはクロスラインをとり、その直後のターン2でアウトから果敢に攻め込み、すぐさまトップを取り戻す。

トップ2人が争って僅かにペースが落ちた隙をベレン・ガルシア🇪🇸とマルティ🇪🇸も狙う。セーフティーカー明けのためマシンが数珠繋ぎなだけに前も後ろも気をつけたい。ミストラルストレートに入ってバッサー🇳🇱のスピードが伸びない。ポジションキープのためにイン側に寄るバッサー。しかしベレン・ガルシアはバッサーに並びながらシケインに飛び込み、立ち上がりで前に出ることに成功。

今度はマルティ🇪🇸がバッサー🇳🇱に襲い掛かるも少し及ばず。その隙をついて11コーナーでアリス・パウエル🇬🇧、ファビアン・ヴォールヴェンド🇱🇮、プリング🇬🇧がマルティのポジションを窺う四つ巴の形。

マルタ・ガルシア🇪🇸が12コーナーでプリング🇬🇧をパス。その直後14コーナーでチームメイトのヴォールヴェンド🇱🇮の横に並び、最終コーナーでは押し出すような形でポジションを奪う。しかしヴォールヴェンドは1コーナーでマルタ・ガルシアのインに入り、2コーナーではアウトからのラインで再び前に出る。

前のマシンにつかえてしまい少しでもコーナーのスピードが落ちると、今度は背後のマシンにオーバーテイクを仕掛けられるといった形がここかしこで展開されている。

熾烈な争いは上位グループだけではなかった。2度目のリスタート後2週目にエマ・キミライネン🇫🇮がJuju🇯🇵のチームメイトであるビアンカ・ブスタマンテ🇵🇭をパス。その時点で12位を走っていたJujuはWシリーズ優勝経験のあるベテランの猛追を受けつこととなった。

常に0.3秒差以内でピッタリJuju🇯🇵の後ろにつくキミライネン🇫🇮は、右から左から覗ってくる。バックストレートで逃げるJuju、離れないキミライネン。キミライネンはシケインでJujuのインに飛び込み、一時は前に出るも、シケインの切り返しでイン側になったJujuは再びポジションを取り返す。ミストラルストレート後半は何とかキミライネンを抑え込むJuju。

レースはいよいよ残り10分。2位以下の争いの間にリードを広げていたチャドウィック🇬🇧がファステストラップを記録して後ろのベレン・ガルシア🇪🇸に1.5秒の差をつけリード。トップ2の後方でバッサー🇳🇱が11コーナーではらんでしまいコースを外れる。その隙にマルティ🇪🇸が3位に上がる。

徐々に隊列は長くなる。どのドライバーの前後の差は1秒前後で接近しているものの、オーバーテイクするには決定打がない状況。Juju🇯🇵は前を走るブルーナ・トマセリ🇧🇷との差が徐々に広がり、前を窺うよりも後ろからの猛追を意識せざるを得ない状況。それでもポジションはキープ。

残り5分を切る。6位のヴォールヴェンド🇱🇮から9位のサラ・ムーア🇬🇧まで4人の争いが激しくなる。1コーナーでマルタ・ガルシアはチームメイトのヴォールヴェンドの前を窺うが、ヴォールヴェンドはその前を被せる。しかしコーナー通過中に若干マシンがスライド。2コーナーの立ち上がりが少し弱くなっなりマルタ・ガルシアが急接近。緩やかに左に伸びていく3コーナーまでのストレートでマルタ・ガルシアの左フロントタイヤとヴォールベンドの右リアタイヤがタッチ。

どうしても前に出られないマルタ・ガルシアに次はプリングが襲いかかる。3コーナーの立ち上がりでヴォールベンドはまたしてもふらつく。そして3台は連なってミストラルストレートへ。プリングがトゥから抜け出しシケインで一度丸太ガルシアの前に出る。しかし次のシケインではマルタ・ガルシアがプリングのインから前に出る。シケインの出口でアウトに追いやられたプリングにムーア🇬🇧がアタック。ミストラルストレートが終わる10コーナーで見事プリングをパス。8位に上がった。

トップ快走のチャドウィックから5位パウエルまでは各車1秒〜2秒の間隔。差が縮まっていく様子がない。

チャドウィックがフィニッシュラインを残り時間約50秒程のところで通過。レースは残り2周。これまでキミライネンのアタックを見事に抑え込んできたJuju🇯🇵だったふが、残り19秒となった2コーナーの立ち上がりでとうとうオーバーテイクを許す。引き離すことはできなかったがレース経験が豊富なキミライネンをここまで抑え込んだレースぶりは素晴らしい。これまでマシンセッティングに悩まされてきたJujuだったが、Wシリーズで初めてレースらしいレースをすることができたのではないか。

そして激しい接近戦が続いていた6位争い。ライン通り5コーナーに入っていったヴォールヴェンドのインに飛び込むマルタ・ガルシア🇪🇸。ヴォールヴェンドも油断していたか。そのまま並んで6コーナー。アウト側のヴォールヴェンドは最大限グリップを効かせて立ち上がり、マルタ・ガルシアのアタックを封じ込む。

そして前2人の争いの隙にムーア🇬🇧とプリング🇬🇧が急接近。4台連なってミストラルストレートへ。前に出られなかったマルタ・ガルシア🇪🇸は再びヴォールヴェンドに仕掛ける。シケインでインに入ったマルタ・ガルシアはヴォールヴェンドの前を抑え2つ目のシケインを立ち上がる。そして引き離していく。とうとうチームメイトを攻略。

チャドウィック🇬🇧は2度目のセーフティーカー明けにトップに立ち、後ろからのプレッシャーを受けることなくペースを維持して今季5勝目。昨年からの連勝を7に伸ばした。Wシリーズ初の女性優勝エンジニアとなったサラ・モーガンとともに歓喜に沸いた。

トップ3コメント

「レースを楽しめた。昨日ポールポジションを獲得してからペナルティでそれを奪われたので、今日はその借りを返すつもりだった。本当にうれしいよ。ベイツケをうまく抜いたけどその後も彼女は強かった。リスタートした後にまた後ろに下がるハメになってしまった。」

「でもそこからまた気を取り直して、首位を奪還できた。またレースに勝てて最高の気分」ージェイミー・チャドウィック🇬🇧

「ここ数週間はあまり楽ではなかったし、体調も良くなかったから、この2位表彰台はまるで栄光のような気分。とてもうれしい。」

「レースはとても楽しめた。スタートも決めて、攻めの走りで戦うことができたので、すべてがうまくいった。」ーベレン・ガルシア🇪🇸

「表彰台に登れてハッピーだけど、もっと上を目指したかった。スタートをミスをしてしまって、セーフティーカーがいなくなった後にすべてのことを修正することはできなかった。」

「でもチャンピオンシップに向けて多くのポイントを獲得できたのは良かった。次のレースでも良い走りでまたポイントを獲得したい」ーネレア・マルティ🇪🇸

「良いレースだった。良いレースとなるすべての要素が揃っていた。」

「しかしアビー・イートン🇬🇧のスタートでの事故は残念だった。あれでレースに混乱が生じた。それともっと上位になれる機会がたくさんあったけど結局4位で終わってしまったベイツケ・バッサー🇳🇱に何が起こっていたのだろうか。」

「少々攻撃的過ぎたドライビングがたくさんあったようだ。そしてそれに不満があるドライバーもたくさんいるようだ。でも少々厳しい争いがあったというだけで何も問題はなかったと思っている。」

「ジェイミー🇬🇧にはおめでとうを言いたい。レース中のゴタゴタに巻き込まれることなく、すべきことを確実にして見事優勝した。ベレン🇪🇸も素晴らしい仕事をした。表彰台に登る姿を見れて嬉しいよ。ネレア🇪🇸もベレン同様に力強い走りで3位表彰台を獲得して嬉しく思っている。チームメイト同士の争いがたくさんあり、とても興味深かった。」

「総じてとても良いグランプリになった。次の週末のハンガリーラウンドのために少々修復しなければならないダメージを受けたマシンがあるが、壊滅的なものではないから問題ないだろう。」ーWシリーズ レースディレクター デイヴ・ライアン

Jujuは力強い走りで13位完走

Juju🇯🇵はキミライネンに抜かれた後も常に1秒以内の差にとどまり続け13位でフィニッシュ。ポイント獲得はならなかったもののとても力強いレースを展開。セーフティーカーによりレース時間の半分が失われたのが痛かったか。でもすぐ翌週はハンガリーラウンド。サマーホリデー前の最後のレースではさらに強いレースを見せてほしい。

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