ダウンフォースとは、クルマを路面に押しつける力のことを指します。
プレシーズンテスト1回目が終わってからも何かと話題の尽きない今シーズンのF1シーン。
今シーズンは車体に関するレギュレーションがまったく新しいものになり、
今までのクルマのコンセプトがリセットされ、0からつくられるため期待が膨らんでいるのでしょう。
2022年シーズンに車体規則が変わり、仕切り直しになるのは、
レースをより魅力あるものにしようという試みがなされるため。
端的にいうとオーバーテイク、もしくはそれに準ずるバトルが
今まで以上に見られるようにすることが試みの具体的な目標になっています。
これまでF1は空気力学を追求する形でレーシングカーとしての速さを実現してきました。
前後のウィング、コクピット横にあるバージボード(清流版)、サイドポッドなど、
クルマそのものが速く走るための空気力学の結晶なのです。
しかし一方で、クルマの後方に流れていく空気が乱気流となってしまい、
後ろを走るクルマが前方のクルマへ接近することが非常に困難になってしまうという問題がありました。
そのためコースによってはレースでのオーバーテイクがまったくないということもあるのです。
レースが人の興味を惹きつける最大の理由は、一般の人では操り切れないスピードです。
真っ直ぐ走っている時の速さは、パワーユニットに寄るところが非常に大きく、
一方でコーナーでの速さはダウンフォースに寄ります。
F1マシンが、世界最高峰のレースカテゴリーであるという称号を持っているのは
まさにその速さであり、それを実現しているのがダウンフォースです。

F1はコーナーでもスロットル(日本で言うところのアクセル)をベタ踏みで走れてしまうところも少なくなく、200km/h、250km/hという高速域で曲がっていくコーナーもあります。
それを実現している一つの大きな要因がダウンフォースです。
ダウンフォースは、クルマを路面に押しつける力のことを言います。
コーナーを曲がることなく真っ直ぐ走る、もしくは非常に高速で曲がることができるのは、
外側に働く遠心力に負けないほどの強力なダウンフォースでクルマが路面に押さえつけられているためです。
クルマが遠心力によってスライドしなければよりスピードを出してコーナーが曲がれます。
ではダウンフォースとは一体どれ程の力なのだろうか。
300km/hで走っているとき車体にかかるダウンフォースは約2,000kg。
HONDAホームページより
車体が(当時のF1最低重量が)600kgなので、300km/hで走れば、逆さにして 天井を走ることも理論的には可能なのだ。
車が逆さまで天井に張りついたまま落ちることなく走れてしまうくらいの力だと考えると、
それはもうすごい力だということは想像できます。
ダウンフォース量は、速度が高い時に大きくなり、反対に低い時には小さくなります。
量の増減は速度の二乗に比例するということです。
以上ここまで、非常に簡単にではありますがダウンフォースについて説明しました。
F1は走るコースや天候などによってクルマやパワーユニットの調整を行います。
単純にいうとそのコースを0.001秒でも速く走るための調整をしています。
それをセッティングと呼んでいます。
コースを僅かでも速く走ることは、最適なダウンフォース量を探すということとほぼ同義語です。
もっと詳しくダウンフォースについて知りたい、学びたいという方には
非常に詳しく説明されているwebサイトがごまんとあるので、そちらにバトンタッチします。
これから中継を見たときにたくさんこの用語と出会うことでしょう。
みなさんのF1観戦のお手伝いができたら嬉しいです。
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