Wシリーズのダブルチャンピオンであるジェイミー・チャドウィックは、母国イギリスのシルバーストーンで行われたレースで勝利し、Wシリーズでの連勝を6に伸ばした。
チャドウィックは全10戦 ある2022年のWシリーズのうち4戦で勝利を挙げ、通算ポイントも100に伸ばした。Wシリーズでの参戦も3年目を迎えるがここまで母国イギリスのレースでの勝利はなかったチャドウィック。しかし今回、ようやく地元でその強さを結果で示すことができたラウンドとなった。
チャドウィックはランキング2位のアビ・プリングとの差を47に広げることに成功。Wシリーズ3度目の栄冠に向けて着々と着々と前進している。
エマ・キミライネンが2位、3位には同じイギリス出身のプリング。キミライネンはレース終盤にプリングと接触して3位に落ちたが、プリングが接触の非は自分にありと思ったのか自分から順位を譲ったため、キミライネンが2位に浮上した。
キミライネンは今季初の表彰台を獲得し、ランキングも4位に上げた。3位のベイツケ・バッサーとは1ポイント差。逆に5位のアリス・パウエルからは7ポイントリードすることとなった。
昨年のシルバーストンでの優勝者であるパウエルは3番グリッドからスタートしたが、フォーメーションラップ中の違反によりストップ&ゴーのペナルティを受けてしまう。結果は14位。ポイント追加はならなかった。
12ヶ月前にパウエルに次ぐ2位となったファビアン・ヴォールヴェントは、シルバーストンでの好調をそのまま維持し、迫るバッサーを何とか抑え4位でフィニッシュ。ジェシカ・ホーキンスとアビー・イートンはそれぞれ6位と7位に入りホームレースでポイントを獲得。ベレン・ガルシア、ネレア・マルティ、サラ・ムーアがトップ10に入った。
決勝はキミライネンとプリングの2位争いが熾烈
ドライバーたちが決勝のグリッドに向かうときはところどころで雨が降っていたにもかかわらず、チケットが完売していたF1イギリスGPの土曜日には非常に多くの観客が集まった。
ドラマはスタートシグナルの消灯前に始まった。
トラックリミットを違反で一旦は抹消されたラップタイムが復活し、予選で5位から3位に繰り上がったパウエルがフォーメーションラップの開始でストール。最後尾のマシンがパウエルを追い越す前にダミーグリッドを離れることができ、3番グリッドというスタートポジションに復帰することが可能になった。
しかしフォーメーションラップでの最初のセーフティカーラインを4番手で通過したためスチュワードから10秒のストップ・ゴー・ペナルティを課された。
チャドウィックはポールポジションから力強いスタートを決め、キミライネンとパウエルはその後ろにつけることとなった。プリングはスタートを失敗して4番手から後退。6番手スタートのヴォールヴェンドがその座を射止めた。
我らがJujuは前戦のようなロケットスタートを決めたが、ネレア・マルティとテレザ・バビコワに前を塞がれ行き場を失う形に。
開始4分、パウエルはブルックランズでキミライネンをインからパスして2番手に上がる。しかしペナルティを消化するためにピットレーンに入る。2位争いが熾烈だったおかげで30分+1周のレースのうちわずか2周でチャドウィックが後続に4秒のリードを築いた。
エメリー・デ・ホイスとの接触でフロントウイングとサイドポッドが破損したマルタ・ガルシアは、マシンの修理のために長時間のピットストップを強いられ、最後尾に後退。
前方では、マルタのチームメイトであるヴォールヴェンドがプリングと3位争いを繰り広げていた。ヴォールヴェンドがビレッジではらんだため、プリングは3位浮上。その隙を突きバッサーも4位に浮上した。
レース開始から中間地点では、チャドウィックが2位のキミライネンに5秒以上の差をつけており、プリングはキミライネンからさらに2秒後方に位置していた。10番手スタートのホーキンスは6番手に、マルティは15番グリッドから9番手まで順位を上げていた。
レース後半に入ると雨脚はさらに強くなったが、チャドウィックはトップを快走、セクターの全体ベストタイムを更新し続け、残りレースタイムが10分を切った時点で2位との差を6秒以上に拡大した。
雨脚が弱まりチャドウィックは十分なリードを確保していた。そしてキミライネンとプリングの2番手争いが白熱してきた。プリングはキミライネンのミラーに大きく写るようになり、キミライネンは逐一プリングの動きをチェックするようになった。
プリングはこのレースでの最速ラップを記録しながら追いかけ続ける。
最後の1周に入る手前でキミライネンまで0.5秒差まで迫るが、ハンガーストレートで横に並んだ2人は最終コーナー手前で接触!?
この接触でキミライネンはスピン。スチュワードはこの接触を調査していたが、プリングは最終ラップでキミライネンに2位を譲ります。
そしてチャドウィックは2位に約20秒の差をつけて優勝。
Jujuは序盤に苦しみながらも後半は好タイム連発

Jujuはグリッド順位の16位でフィニッシュ。
スタートで飛び出したのは良かったのですが、前が塞がれてしまいバックオフするしかなったような印象。
クルマが決めきれずかなり苦労していたみたいですが、レース中盤からは感触もよくなってきたようで周回ごとタイムではトップ3に入るだけのラップを刻めたようです。
アライメントが狂ってるようなクルマで奮闘しました。
Jujuのブログからその様子が良く伺えます。
トップ3のコメント
「今日までイギリスでのWシリーズで優勝したことがなかったので、ここで勝てて本当にうれしい。今回の走りには本当に満足している。」
「雨に降られた時は少しだけ注意してドライブしたけど、後続の速いドライバーたちとの差が縮まることなく十分に維持できてよかった。」
「イギリス人ドライバーであれば皆ここでのレースを勝ちたいはず。もちろん私もそのうちの1人で、この週末は勝利に対して本当にハングリーだった。過酷な日々だった。」ージェイミー・チャドウィック
「今シーズンはぶつかったりスピンしたりする運勢なのかしら。今回でそれも終わってくれるといいんだけど。」
「自分のポジションを守っていたら、(プリングが)入ってくるスペースがなくなってしまったんです。プリングが見えなかったのでずっと前方を見ていました。
「プリングがタイヤをロックさせたのかどうかはわかりませんでしたが、彼女はインに入ってきて、そして接触しました。ぶつかって自分のクルマが回ってプリングと向かい合ったときに、彼女が両手で「ごめん!」と言っているかのように手を合わせる動作をしたのが見えました。実際はほんの数秒の出来事だったにもかかわらず、ずっと続いているように感じられました。」
「私はマシンにダメージがないことを祈りながらレースを続けました。プリングは何か問題を抱えていたのか、あるいは接触が自分のせいだと思って私を抜かせたのか、それでこの順位でレースを終えることができたんです。」
「この週末で私たちはたくさんのことを学んだし、それは学習の過程でもあります。次のレースに向けて一層賢くなるようにマシンやセッティングについてまだ学ばなければならないことがありますが、またすぐ2つレースがあるので、今回のこの良い感触を生かしていきたいです。」ーエマ・キミライネン
「地元で表彰台を獲得できて本当にうれしいし、シルバーストン来てくれたたくさんのファンの前で表彰台に上れたことは最高の気分!」
「スタートは思ったほど良くなかったし、ラインを外れて苦しんだりもしました。でも徐々に順位を上げていき、最後にはエマ(キミライネン)にプレッシャーをかけることができた。レース全体を通してペースは良かったと思うし、後は抜きつ抜かれつを繰り返した。」
「次回は、もっと上のグリッドからスタートできるように、予選でミスをしないように研究します。ポール・リカールのサーキットは好きだし、いいレースをすることができる思う。」ーアビ・プリング
最後にWシリーズのディレクターであるデイブ・ライアンから。
「ジェイミー(・チャドウィック)、おめでとう! 彼女はいま安定して実力が発揮できている。レースウイーク全体における彼女の取り組む姿勢はとても素晴らしく、それがコース上でも表れていた。」
「アリス(・パウエル)にはがっかりした。でもガレージに戻ったときに彼女がなんと言うかが楽しみだ。もっと接近したレースを期待していたけれどあのペナルティーのおかげでそれが叶わなかった。でも不満はない。」
「アビ(・プリング)とエマ(・キミライネン)は良かった。どっちに非があったのかわからないが、スチュワードが調査している。」ーデイブ・ライアン
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