ダブルチャンピオンのジェイミー・チャドウィック(ジェナー・レーシング/🇬🇧)は、バルセロナのカタルーニャ・サーキットで開催された今季3戦目のWシリーズのレースで、スタートからゴールまで終始トップを譲らず見事優勝を果たした。マイアミの2レースに続き、2022年のWシリーズで完璧なスタートを切った。
GP期間中に24歳の誕生日を迎えたチャドウィック。2週間前にマイアミでの2レース連続勝利に続きスペインでのレースを勝利で飾った。
スペインではフリー走行、予選、決勝の3セッションすべてでトップ、全ラップをリードし、レースのファステストラップも記録する完璧なレース展開を見せ、嬉しいバースデーとなった。
チャドウィックはWシリーズで昨年から5連勝、そして通算9勝目を挙げ、2022年ランキングで2位との差を37ポイントに拡大している。
トップ10フィニッシュは以下の通り
スターティンググリッドは以下の通り。我らがJujuは13番グリッドからのスタート。
ポールポジションからスタートを成功したチャドウィックはレース全体で巧みにペースをコントロールし、スタートでアリス・パウエル(クリック2ドライブ・ブリストル・モータース Wシリーズチーム/🇬🇧)をかわして2位に上がったアビー・プリング(レーシングX /🇬🇧)の追撃を抑え、コンマ5秒差で優勝を飾った。
昨シーズンランキング2位のパウエルは、2位のプリングに0.7秒差の3位。スペインGPの表彰台はイギリス勢が独占した。プリングはWシリーズで2度目の表彰台を獲得。ランキングも2位に浮上。

エマ・キミライネン、ベイツケ・バッサーはそれぞれ4位と5位。ホームレースとなったマルタ・ガルシアは6位。Wシリーズに参戦の3人のスペイン人ドライバーの中で最上位でのフィニッシュだった。
7位にはベレン・ガルシア、8位にはネレア・マルティが続き、その後ろでファビエンヌ・ウォールヴェント、サラ・ムーアの順でチェッカーを受けた。
なお、前戦マイアミ大会でJujuに追突した事故によりこのスペインで3グリッド降格ペナルティを受けたテレサ・バビコワは16番手からスタートしていた。
レース展開
前回のマイアミでは2レースともにスタート事にエンジンストール気味でスタートできなかったマシンがいくつかあったが、今回初めてトヨタ・ガズー・レーシング・ニュージーランド(TGRNZ)のマシンを使用したレースでは、18人のドライバー全員がスタートできれいに飛び出すことができた。
中でもチャドウィックはポールポジションのメリットを最大限に活用して、トップで1コーナーに進入していった。その後方でプリングが1コーナー出口でパウエルを抜いて2番手に上がり、キミライネンがバッサーをかわして4番手からさらに上位を窺う。
上位5台の後にはスペインドライバーの3人が続く。マルタ・ガルシアは3人のうちの先頭を走り、ネレアは1周目に11番手から8番手まで順位を上げていた。一方その時点でトップのチャドウィックが2位に1秒以上のリードを築いていた。
30分+1周のレースの3分の1が終了した時点で、トップ10は互いにコンマ2秒以内のラップタイムを記録していた。プリングはチャドウィックのアドバンテージを0.5秒以下に縮め、パウエルはコンマ4秒差で3位につけていた。しかしチャドウィックは2人の追い上げに対しこのレースのファステストラップを記録して突き放す。
残り15分となったところで、サラがターン1でジェシカ・ホーキンスを抜いて10位に上がる。
路面温度が45℃を超えたため、ハンコックタイヤのマネジメントが重要となり、チャドウィックは再び1秒近い差をつけレース終盤に突入した。
プリングは最終ラップに入るまでにその差を縮め、エンジニアから「プレッシャーをかけ続けるように」と指示が飛んでいた。しかしチャドウィックがプリングからのプレッシャーに負けず冷静に対処したため、チャドウィックのミスを誘うことができなかった。
レースはチャドウィックのチームメイト、クロエ・チェンバースがターン9でリアタイヤを失い、グラベルにスタックしたため、イエローフラッグが振られた状態で終了した。
TGRNZは今年、F1レースウィークエンドにレーシングカーを最も持続可能な方法で輸送するために必要な物流面でWシリーズをサポートしています。トヨタのFT60は、今週末のバルセロナ-カタルーニャサーキットに加え、10月に開催されるWシリーズのアジア初戦である鈴鹿でも使用される予定です。
Wシリーズは、トヨタ・レーシング・シリーズと同じタツアス製のシャシーを使用しています。しかしエンジンはそれぞれで別のものを使用しています。今回のバルセロナ、そして鈴鹿で開催されるレースに向けて出荷されるマシンにはトヨタ製エンジンが積んであります。2つのシリーズでシャシーを共有することで物流を管理し、空輸ではなく海上輸送を可能にすることで、それぞれのシリーズの二酸化炭素排出量を可能な限り抑えることに貢献しています。
(※Jujuのブログでは、2台のシャシーを走らせることについて「エンジンが違うメーカー製なので全く感触が違います。」と述べている。)

「このレースではタイヤのマネジメントがレースのすべてを決める。そして終始うまくマネジメントすることができた。最後の数周は少し神経質になり、アビ(プリング)のプレッシャーを受けて苦しくなったが、幸運にも彼女を抑えることができ、優勝できて本当にうれしい。」ージェイミー・チャドウィック(ジェナー・レーシング/🇬🇧)

「マイアミから立ち直り、予選では首位からほんの少しだけ遅れただけの自分を誇りに思う。チームにも感謝している。良いペースで走れた、そしてジェイミー(チャドウィック)を抜くことはできなかったけど、それでも私にとっては良い結果を得られた。最終ラップでは彼女のすぐ後ろにつけていたし、次のレースではまた前進するために何をすべきかがわかっている。」ーアビ・プリング(🇬🇧/レーシングX)

「タイヤを温存することが重要だとわかっていた。何度かアビ(プリング)に近づいたけどオーバーテイクはうまくいかなかったので、一旦少し下がってからもう一度トライしてみた。でも近づくとついていくのが厳しくなる。」
「昨日の予選ではブレーキに問題があって残念だったし、今日もタイヤをロックさせてしまった。それでもポイントを獲得できた良しとしたい。次のシルバーストーンにつなげたい。」ーアリス・パウエル(🇬🇧/クリック2ドライブ ブリストル ストリート モータース レーシング Wシリーズチーム)
「まず、ジェイミー(・チャドウィック)がよくやった。彼女は本当に堅実なレースをしてくれたし、良い週末を過ごした。アビ(・プリング)が2位を獲得したことは喜ばしい。彼女はこの1年で大きく成長し、ジェイミーをずっとプッシュしていくだろう。アリス(・パウエル)もすぐ後ろに迫っていて上位は厳しい争いだったが、ジェイミーはそれをうまくコントロールしていたように思う。」
「全体を通して良いレースだった。新人のドライバーはもっとマシンに乗って理解する時間が必要なのは明らかだ。他のドライバーたちがたくさん走っているこのコースで、しかもグリッド後方に位置する彼女たちはもっと走行距離を稼ぐ必要がある。」
「TGRNZのマシンはとても良いもので、今回も5人のスタッフが素晴らしい仕事をしてくれた。彼らはとても働き者で、チームにスムーズに溶け込むことができた。」ーデイブ・ライアン(Wシリーズ・レーシング・ディレクター)
Jujuのバルセロナは予選13位 決勝12位完走
開幕戦のマイアミではフリー走行終盤のクラッシュですべてが狂ってしまったJuju。
ここスペインはJujuにとって初めてのサーキットではないので、堅実かつチャレンジングな走りを見せてほしいところ。
先にも記したように、今年Wシリーズはマシンの輸送に関してTGRNZのサポートを受けており、トヨタ・レーシング・シリーズとシャシーを共有しています。要するに2種類のシャシーを使うということです。
今回のバルセロナで走らせるタツアス製のマシンは、前回マイアミで走らせたものとは異なるシャシーでした。
Jujuは自身のブログの中で「今回のレースで難しかったのは前回とはマシンが違うということ。エンジンが違うメーカー製なので、全く感触が違います。」と言っています。
2台目のアカデミーのマシンは強いオーバーステアがあることがフリー走行で分かったようです。オーバーを消すセッティングで予選に臨んだが、オーバー傾向を完全に消すことはできず、暴れ馬を力でねじ伏せる形の予選になったということでした。
最後のアタックで、セクター1と2で自己ベストを更新していましたが、最終セクションで遅い車に引っかかり、そのため予選11位までわずか0.05秒差の14位。非常に悔しい予選になりました。
決勝に向けては、予選以上に大胆なセッティング変更で挑んだということです。
スタートは抜群の反応速度で前の2人を今にもかわしてしまうほどのダッシュを決めました。
しかし2台の間にスペースがなくスロットルを緩めざるを得ませんでした。
レースは最も暑い時間帯で、オーバーステア気味のマシンはリアタイヤの摩耗が激しいので、前半はタイヤを温存し、後半に攻める作戦をとったようです。
しかしその狙いとは裏腹にマシンはアンダーステア。
でもレース後半には何とかアンダー傾向のマシンにも慣れ、作戦通りプッシュを開始。
前を行くマシンとの差を詰めることができました。
しかし抜きどころのないバルセロナのサーキットでは順位を上げるのは難しく13位でフィニッシュ。
まずは完走できたことが成果です。
想定と違ったアンダーのクルマで後方からのプレッシャーにもよく耐え抜き、中盤以降のペースはトップ3以外の集団に匹敵するものだったので、予選を上手くまとめられればレースができるということが分かり、そこに大きな進歩があったということでした。
次回Wシリーズは第4戦は7/1〜2にイギリスのシルバーストーンサーキットで開催されます。
そのまでにJujuは6月5日にオーストリアのレッドブルリンクで開催されるドレクセラー・フォーミュラ・カップの第4戦に参戦する予定ということです。
とにかく一つひとつのレースで大いに学び、チャンスがあれば上位を狙ってほしいです。
Juju 頑張れ!
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