
セバスチャン・ベッテル8位。
ランス・ストロール10位。
4戦目で今シーズン初のポイント獲得! それもダブル入賞です!
前戦のオーストラリアGPでウィリアムズが入賞したため、
唯一ノーポイントチームとなっていた鮮やかなブリティッシュグリーンの
チーム全員が安堵の胸をなでおろしたことでしょう。
しかし今回のダブル入賞は本来なら上位に来ているであろうドライバーがリタイヤや下位に沈んだことや、ドライタイヤへの交換タイミングが非常に良かった恩恵を受けた順位であって、
クルマの純粋なペースからもたらされた結果ではないことも理解しておかなければならないでしょう。
今シーズンのアストンマーチンは、クルマづくりに失敗してしまったということを認めざるを得ません。
新しい車両レギュレーションのもとで生み出されたAMR22が他チームと比較して競争力がないのはここまで4戦を見てきて明らかです。
一昨年に見せてくれたメルセデスに次ぐ速さが昨年はすっかり鳴りを潜めてしまい、
今年は他チームと比較してさらに1歩後退してしまったという印象です。
今回のポイント獲得をきっかけに上昇気流に乗ることを期待したいところです。
レース後のドライバーコメント
「チームが本当に良くやってくれた。今シーズンこれまでの厳しい状況の中懸命に働いてきたチームにとって非常に重要な結果だった。」
「涼しくて湿ったコンディションの恩恵を受けたのは確かだが、それでも僕らにはそういったチャンスを逃すことなく生かすことが必至だった。また、ドライタイヤへのピットストップをベストなタイミングで行うなど、良い戦略を実現して入賞を達成することができた。」
「このレースでは純粋なペースはなかったかもしれないが、2人ともタイヤをうまくマネジメントして2台ともにポイント圏内で終えることができた。スタートが決まったのが良かった。今はマイアミを楽しみにしている。」ーセバスチャン・ベッテル
アストンマーチンF1公式HPより
ベッテルのコメントからもチームが非常に苦しい状況であることが伺えます。
それだけに今回の入賞はチーム全体がプライドを持ち続けることができる大きな結果だったのではないでしょうか。
「この週末はパフォーマンスが向上し、訪れたチャンスを最大限に活かすことができたので満足している。予選も決勝も気温が低く、雨のコンディションだったので、それが僕らに合っていたのかもしれない。」ーランス・ストロール
アストンマーチンF1公式HPより
ストロールもベッテル同様に気温が上がらなかったことがチームにとっての好材料となったことを挙げています。
他チーム同様タイヤの使い方にまだ良い方向性が見出せていないのでしょうか。
予選はタイミングにも恵まれベッテルがQ3に進出!
ベッテルは開幕直前に新型コロナウィルスに感染したため、前戦オーストラリアGPから今シーズンがスタート。
そのオーストラリアGPでは走り込み不足が露呈した形になり、
FP1、そして予選でクラッシュを喫し、決勝でも縁石に少し乗りすぎてコントロール制御不能からクラッシュでリタイヤ。散々なシーズンスタートとなった。
しかしイモラではかなりの雨にもかかわらず困難な状況がなかったかのように順調にペースを上げることができたようです。
その好調さを予選でも発揮することができ、Q1を11位で通過。
Q2は雨で路面がグリップを失う前にアタックできQ1でのタイムをこうしん。
その後カルロス・サインツJr.がリバッツァでクラッシュ、赤旗中断。
再開した時には路面が雨に濡れていたせいで誰もタイム更新できずに終了。
見事Q3進出を果たした。
Q3でも各ドライバーは雨に翻弄され、ベッテルは9位でエミリア・ロマーニャGPの予選を終えました。
ストロールは、路面が濡れていたにもかかわらずソフトタイヤでラップを重ね、7位でQ1通過。
しかしQ2ではサインツによる赤旗もあったためにうまくアタックするタイミングが得られず15番手でQ2ノックアウトとなった。
とはいえペースは良く、マシンのパフォーマンスに好印象を持っているストロールでした。
スプリント予選
グリッド | ドライバー | チーム |
8 | バルテリ・ボッタス | アルファロメオ |
9 | セバスチャン・ベッテル | アストンマーチン |
10 | カルロス・サインツ | フェラーリ |
11 | ジョージ・ラッセル | メルセデス |
12 | ミック・シューマッハ | ハース |
13 | ルイス・ハミルトン | メルセデス |
14 | 周冠宇 | アルファロメオ |
15 | ランス・ストロール | アストンマーチン |
16 | 角田裕毅 | アルファタウリ |
17 | ピエール・ガスリー | アルファタウリ |
今シーズン初となるスプリント予選のグリッドです。
ベッテルはQ3に進出したものの、後ろには強力なライバルが控えているのでまったく油断できない状況でした。
スタートでこそ順位をキープできたものの、
イエローフラッグ明けにアルファロメオのバルテリ・ボッタスにかわされてしまいます。
ハースのミック・シューマッハに対しては粘りの走りを見せますが、
最終的にはオーバーテイクされ、その後も何台かにかわされ、13位でフィニッシュ。
「10位以内をキープできなかったのは残念。セーフティカーは我々の助けにはならず、後半はソフトタイヤのグレイニングに悩まされた。最初の数周に関しては何とか力強く守ることはできたようだ。」
「ミック(シューマッハ)はミディアムタイヤを履いていて、耐久性のアドバンテージを持っていた。彼に抜かれるとあっという間に次々とポジションを落としてしまった。ミディアムタイヤの方がアドバンテージがあったようだ。」
「スプリントはいつも、マシンについて、そして日曜のメインレースで何をすべきなのかを多く学ぶことができる。今日のスプリントレースから、明日はソフトタイヤが有利とは言えないことがわかったね。」ーセバスチャン・ベッテル
ストロールはオープニングラップのトサコーナー手前でルイス・ハミルトンの前に躍り出ることに成功。セーフティーカーの後、8周目に入ったところでハミルトンに差し替えされてしまいましたが、その後は順位をキープ。15位でスプリントのチェッカーを受けています。
「今日はできる限りのことをやったが、大きく順位を上げるにはペースが足りなかった。ルイス(ハミルトン)とのバトルは楽しかったよ。」
「金曜日の予選の前に1回だけ練習して、土曜日は(スプリント)レースというのはとてもチャレンジングだ。明日の決勝は雨が降って混乱のレースになることを願うよ。」ーランス・ストロール
ソフトタイヤをレースペースで機能させるのが難しかったようです。
しかしこの経験が日曜の決勝に生きてくるのです。
日曜の決勝ではスタート前の雨のおかげでインターミディエイトでのスタート。
路面がドライになってくるとベッテル、ストロールともに早めのタイヤ交換を敢行。
2人とも中古のミディアムタイヤを装着しました。
これは前日のスプリントにおいてソフトタイヤのグレイニングに悩まされた教訓からきた選択です。
タイヤをうまくマネジメントしながら、安定した性能を発揮することで入賞を獲得しました。
まとめ:今シーズンこれからのGPへの希望をつなぎとめた週末に
開幕戦直前にベッテルが新型コロナウィルス陽性反応。
ニコ・ヒュルケンベルグが代役するも間に合わせるだけのドタバタでシーズンがスタート。
ただでさえ新たなコンセプトのクルマやタイヤの特性を学習していかなければならないシーズン序盤に、チーム事情が加わったことにより大きな出遅れ。
さらに唯一の無得点チームとなってしまったことでチームは焦りや不安が大きくつきまとっていたことでしょう。
そしてこのエミリア・ロマーニャGPの天候は雨。さらなる試練が立ちはだかる状況下でしたが、
やれることを一つひとつ行い、素晴らしい判断も功を奏してダブル入賞を果たしたチーム力は賞賛に値するものです。
この結果に、アストンマーチンというチームに関わる人たちすべての希望をつなぎとめたといっても言い過ぎではありません。
ハース、アルファロメオが躍進している今シーズンにおいて、目下のライバルはウィリアムズとなるでしょうが、着実に一つひとつ進化を遂げていくことに期待したいです。
コメント